はじめに
「退職代行を使って会社を辞めても違法じゃないの?」「弁護士じゃない人が代行して大丈夫?」
こうした不安を抱えている人は少なくありません。近年、退職代行サービスは利用者が増加しており、特に20代〜30代を中心に注目されています。しかし、一方で法的リスクやトラブルの事例も報告されています。
本記事では、退職代行サービスの法的な位置づけ、合法性、そして利用時に注意すべきリスクについて詳しく解説します。
退職の自由は法律で保障されている
まず前提として、日本の労働者には「退職する自由」が法律で認められています。
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民法627条1項
→ 期間の定めがない雇用契約は「2週間前に申し出れば」退職できると規定。
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労働基準法第13条
→ 労働者の退職を制限する契約条項は無効。
つまり、労働者が退職したいと申し出れば、会社が「辞めさせない」と言っても法的には認められません。退職代行は、この「退職の自由」を実現するために、本人の意思を会社へ伝える役割を担っているのです。
退職代行業者の種類と法的な位置づけ
退職代行は大きく 「一般業者」 と 「弁護士が関与する業者」 に分けられます。
一般業者(弁護士資格を持たない業者)
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退職意思の「伝達」は可能。
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ただし、交渉はできない(有給消化・退職金・未払い残業代などの要求は不可)。
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交渉を行えば「非弁行為(弁護士法72条違反)」にあたる可能性があります。
弁護士法人が監修または運営する退職代行
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退職意思の伝達に加えて、法律上の交渉も可能。
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例:有給休暇消化の請求、未払い賃金や残業代の請求、損害賠償請求への対応など。
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法的トラブルにも対応できるため、安心感が高い。
👉 ポイント:
「会社との交渉が必要かどうか」で、選ぶべき退職代行の種類が変わります。単に辞めたいだけなら一般業者でもよいですが、未払い賃金や有給取得など権利行使をしたい場合は弁護士監修・運営サービスを選ぶべきです。
退職代行を利用するメリット
退職代行を使うことによるメリットは以下の通りです。
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上司や人事と直接話さずに退職できる
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即日退職の意思を伝えられる
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精神的ストレスを大幅に軽減できる
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弁護士監修型サービスなら、未払い賃金などの法的請求も安心
特に「パワハラがひどくて出社も電話もできない」「心身の不調で上司と顔を合わせられない」といった人にとっては、強力な選択肢となります。
法的リスクと注意点
一方で、利用時には注意点もあります。
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非弁行為に注意
一般業者が交渉に踏み込むと弁護士法違反となり、依頼者もトラブルに巻き込まれる可能性があります。
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会社からの損害賠償請求は原則難しい
「突然辞めたから損害賠償だ!」と会社が言うことはあっても、実際に法的に認められるケースは稀です。ただし、機密情報漏洩や重大な損害を与えた場合は例外です。
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退職金や有給消化は交渉次第
弁護士型でなければ、法的権利を実際に請求するのは難しいです。利用前に「何を望むのか」を整理しましょう。
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悪質な業者に注意
実績が不透明な業者や極端に安い料金を提示する業者は避けるべきです。追加料金請求や途中放棄などのトラブル事例もあります。
安全に退職代行を利用するためのチェックポイント
安心して退職代行を利用するためには、次の点を確認しましょう。
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弁護士監修または弁護士法人が運営しているか
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料金体系が明確で、追加料金が発生しないか
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実績や口コミ、メディア掲載歴があるか
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相談時に丁寧で誠実な対応をしてくれるか
特に「有給消化」「未払い賃金の請求」を希望する場合は、必ず弁護士監修・運営型サービスを選ぶようにしましょう。
まとめ
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日本の法律では、労働者には自由に退職する権利がある。
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退職代行は「退職の意思を伝える」だけなら合法。
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交渉が伴う場合は、弁護士が運営するサービスでなければ違法リスクがある。
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利用前に業者の信頼性を必ず確認することが大切。
退職は人生の大きな転機です。法的なリスクを避け、安全に新しいスタートを切るためにも、信頼できる退職代行サービスを選ぶことが何より重要です。